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新海誠監督最新作「天気の子」が2019年7月19日に公開となった。
「君の名は。」で大ヒットした新海誠監督の新作と言うことで注目が集まっている。
そんな「天気の子」を鑑賞してきたので感想を書く。
ここからはネタバレありの感想なので、これから映画を観る人でネタバレ嫌いな人は注意!
この記事の目次
「天気の子」について
「天気の子」とは
世界的に注目されている新海誠監督の最新アニメーション映画。
前作「君の名は。」から3年。
「天気の子」も非常に大きな期待が寄せられている。
あらすじ
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
「ねぇ、今から晴れるよ」
少しずつ雨が止み、美しく光りだす街並み。
それは祈るだけで、空を晴れにできる力だった―。
キャラクター
高嶋帆高
今作の主人公。
離島ぐらしに嫌気が差して、家出同然で上京。
しかしアルバイトが見つからずお金が尽きかけた時に、ヒロインである陽菜に食事(ビックマック?)を奢ってもらう形で出会う。
その後、小さな編集プロダクションで住み込みで働く(家賃・食事付き/月給3千円)が、陽菜の「100%晴れ女」の能力を知り、それを上手いこと商売に繋げる。
キャッチコピーの作り方や、Webサイトの見せ方など上手いこと作っていたので、編集プロダクションで色々学んでいたようだ。
帆高は、陽菜(とその弟の凪)と一緒に過ごすうちに、陽菜に惹かれていることに気がつく。
陽菜の誕生日に何時間も迷って指輪を選び、人生初の告白に備える。
しかし指輪は渡せたものの、陽菜は世界の異常気象を収めるために「天気の子」として人柱になり消えてしまう。
「天気の子」が人柱となったことで、数ヶ月降り続いた雨が止み、8月らしい晴れとなった。
それでも帆高は「陽菜と引き換えに晴れになった!」と悲しみを隠せない。
陽菜を探したい帆高だが、警察に家出少年として確保されてしまう。
帆高は「陽菜を探しに行かせてくれ」と必死で頼み込むが、誰も相手にしてくれない。
それでもなんとか逃げ出し、警察に追われる中、夏美と須賀、凪の手助けを得て、陽菜が「天気の子」の力を得た場所へ。
そこから陽菜の場所へ迎えに行く。
陽菜は異常に降り続く雨を収めるために、人柱となっていた。
それを分かっていても帆高は言う。
「青空より陽菜がいい!自分のために祈って、陽菜!」
そして無事に買えることができた帆高と陽菜。
しかし、陽菜が人柱から外れたことで、雨は降り続き3年…。
東京は浸水してしまっていた。
帆高は「自分たちの選択が世界を変えてしまった」と悩み続けていたが、
須賀から「自惚れるな、世界なんて元々狂っている」、おばあさんからは「東京の下町は元々海だった。江戸時代に戻っただけだ」と励まされる。
帆高はそれを陽菜に伝えようとするが、坂の上で祈っている陽菜を見て思う。
「僕たちはきっと大丈夫だ」
天野陽菜
1年前に母が病院で入院していた時に、「お母さんに青空を見せてあげたい」と願っていた時に、代々木の廃ビルの屋上で「天気の子」の力を得る。
「天気の子」は雨の時に祈ると、範囲と時間は限定されるが100%の確率で晴れになる不思議な脳リョウクを持つ。
「100%晴れ女」として都市伝説の様に噂が広まっている。
母親が亡くなってから、弟の凪と二人暮らしをしており、陽菜のアルバイトで生計を立てている。
帆高には次の誕生日で18歳と言うが、実はまだ中学生。
バイト先に嘘の履歴書を出していたことでクビになり、手っ取り早く売春(?)で稼ごうとするが、帆高に阻止される(帆貴は救ったつもり)。
そこから帆高と仲良くなり、「100%晴れ女」の力を使い、商売とする。
「100%晴れ」にする力は、屋外イベントや結婚式、花火大会などで引っ張りダコとなり、陽菜は人の役に立てることに喜びを感じる。
しかし「100%晴れ」にする「天気の子」の力にはリスクがあった。
「晴れ」を祈るごとに、体が水のようになっていった。
そして、夏美から「天気の子」の伝承を聴く。
「天気の子」が人柱となれば、天気を正常に戻せる。
その年は8月でも雨が降り続く異常気象で、誰もが「晴れ」を望んでいることを陽菜は知っていた。
陽菜は帆貴に「帆高は、この雨止んで欲しい?」と聞くと、「もちろん」と帆高は答える。
そして陽菜は人柱になる決心をし、世界から姿を消した。
陽菜が人柱になることで、東京は8月らしい晴れになった。
久しぶりの晴れ間に誰もが喜んだ。
人柱になった陽菜の意識は雲の上にあり、その意識は次第に薄れていった。
薄れゆく意識の中、かすかに聞こえてきたのは帆高の呼ぶ声。
帆高は人柱になった陽菜を連れ戻しに来た。
陽菜は「私が戻れば、また雨になってしまう」と拒むが、帆高の「青空より陽菜がいい!」という言葉にその手を取る。
無事に元の世界に戻ってきた陽菜と帆高。
陽菜が人柱から外れたせいで、世界は再び雨が降り出す。
そして、帆高は実家のある離島へ、陽菜は児童養護施設へと離れ離れになってしまう。
3年後、雨は未だ止まず降り続いていた。
東京は水没したが、交通機関にフェリーが動いていたりと、人間はその機構に適した生活に変化していた。
そんな中、陽菜が坂の上で晴れを祈っていると、そこに現れたのは帆高。
陽菜はその姿をみて走り出し、帆高の胸へ飛び込む。
須賀圭介
都内で小さな編集プロダクションを営んでいる、適当な性格の人間。
須賀はフェリーの甲板から落ちそうになった帆高を助ける。
これが二人の出会いとなった。
須賀は帆高に自分に似ているものを感じ、「困ったら訪ねてこい」と名刺を渡す。
須賀は都内で小さな編集プロダクションを営んでいる。
アルバイトが見つからず、困っている帆高を住み込みで働かせる。
月給3千円という法外な給料で、雑用、事務、取材、記事起こしなどをさせていた。
須賀は奥さんを亡くしており、子供がいるが奥さんの実家に引き取られていて中々合うことができない。
一緒に住めるように手続きをしている最中、帆高が家出少年として警察に追われていることを知る。
住み込みをさせていた須賀は誘拐犯になってしまうことを恐れて、帆高を職場から追い出す。
しかしその行動は罪悪感に囚われ、姪っ子である夏美に「ダサい」と一喝されてしまう。
帆高が警察から逃げ出したと言う話を聞いた須賀は、代々木の廃ビルで帆高を待つ。
帆高が来ると、「これ以上逃亡するな」と説得するが、帆高に銃を向けられてしまう。
そこにやってきた警察官たちに銃を向けられる帆高。
帆高は「ただ陽菜を探したいだけなんだ」と言い、屋上に向かおうとするが警察官に取り押さえられる。
それを見ていた須賀は、取り押さえている警察官に飛びかかり、「行け!帆高!」と帆貴を助ける。
帆貴の逃走を手助けした事で連行されてしまう須賀。
3年後、須賀は綺麗な事務所に移り、社員も2名ほど雇えていた。
子供の件もうまく行っているようだ。
3年ぶりに訪れた帆高に「自惚れるな、世界は元々狂っている」と助言をし、「あの子に会いに行け」と背中を押す。
その他のキャラクター
夏美
須賀の姪っ子。セクシー枠。
大学生で就職活動をしているが、うまく行っていない。
帆高が警察から逃亡の際に、カブに乗って手助けするシーンがカッコいい!
天野凪
陽菜の弟。
大人びた性格・表情をして、同級生の女の子にモテモテ。
帆高から(恋愛の)「先輩」と呼ばれる。
滝・三葉
「君の名は。」の主人公・ヒロインの二人がちょい役だが登場する。
滝くんは、「お天気お届けします」のお客さんであるおばあちゃんの孫として登場。
おばあちゃんの「倍賞千恵子」という名前から、おそらく滝くんの母方のおばあちゃん。
三葉は、帆高が指輪を買ったときの店員さんとして登場する。
ユキノ?
スタッフロールに花澤香菜の名前があったことから、「言の葉の庭」のユキノが登場していたかも。
気が付かなかった…。
「天気の子」感想
私が新海誠監督の作品に期待していたのは「美しい風景・情景」と「音楽」。
まず「美しい風景・情景」だが、期待以上のクオリティだった。
雨のどんよりとした町並み、雨粒がアスファルトに落ちる・窓に当たる、廃墟ビル屋上からの眺め、雨から晴れへの切り替わり、屋上からの夕焼け、打ち上げ花火、雲の上の世界。
現実的な風景から非現実的な情景まで、どれもため息が出るほど美しい風景が描かれていた。
(十数年前のエロゲのOPを作っていた時から新海誠の風景の描き方は凄まじい)
そしてその素晴らし映像に絶妙に合わせてくる「音楽」
「ここぞ」と言う場面で流れる挿入歌。
今回はRADWIMPSだけでなく、女性ボーカル(三浦透子)が起用されており、「天気の子」の世界観・雰囲気に非常にマッチしていた。
「美しい風景・情景」と「音楽」がいい形で組み合わさって、最高の作品になっている、そう私は感じた。
「ストーリー」に関しては、わかりにくい点や説明不足な点があったが、それほど気にならなかった。
「賛否両論になる」と言われている結末だが、私の意見としては「非常に良かった」と思う。
新海誠監督の作品の多くは、「結末に都合のいい奇跡は起きない」。
秒速5センチメートルや言の葉の庭は正にそれだろう。
「君の名は。」は能力を使って大災害を回避、滝くん三葉はお互い覚えていないのに偶然東京で出会う。
なので見終わった時は、「珍しくハッピーエンドにしたな」と感じたのを覚えている。
「天気の子」の結末は、天気の子の人柱から陽菜を連れ出すが、その代わり天気は雨が止まない世界になり、東京は水没している。
これが良かった。
水没してもなんだかんだ人は順応して生きているし、「世界なんて元々狂っている」という救いの言葉も出た。
「人柱を連れ出したけど、何らかの偶然で雨も止んで、すべてが元通りです、よかったね」ってなったら、「あぁご都合が良い方ね」と若干冷めてしまったと思う。
作中で帆高が「神様、お願いです。これ以上僕たちに何も足さず、僕たちから何も引かないでください」と言っている。
逆を返すと「何かを得ると、何かを失ってしまう」という意味にもなる。
帆高は「青空より陽菜がいい」と選択をしたのだから、やはりこの結末は受け入れなくては駄目だろう。
それでも「彼らはきっと大丈夫」だから。
不満点
帆高の家で理由とか、陽菜が2人暮らしが始まった理由とか、サブキャラクターのバックグラウンド、「天気の子」の詳しい能力・運命など、もう少し説明して欲しいところが目立った。
小説では少しはフォローされてたりするのかな?
また、帆高が拾った銃や、警察官関連がイマイチだったかな。
帆高が警察に追われる必要があるなら、家出+ちょっとした事件だけでも良さそうなものだけど。
なんか銃が出てきたことにすごく違和感を感じた。
警察官は帆高の逃走を2,3度許しているし、小学生の凪にも逃走を許すし、リーゼント警官はなんの役にも立ってないし(声は素晴らしいのにね)。
ベテラン刑事だけで良かったんじゃないかな?
「天気の子」の評価
期待以上の「美しい風景・情景」と「音楽」だったので、「最高だった」と評価する。
どのシーンも美しい上に、温度や湿度など空気も描かれている様に感じた。
雨が降っている時は寒く湿度を感じるし、雨から晴れに変わると温度が高く湿度も高くて今にも汗が吹き出しそうな感じが伝わってくる。
そこにRADWIMPS、三浦透子の素晴らしい音楽が重なってくるのだから。
ただ「ストーリー」や「感動」などを求めて見ていたら、違った評価になったかな。
特に結末に関しては「二人が良ければ、世界はどうなっても良いのか!」なんて思う人も居ると思うし。
私はこの結末は大好きだけど、100%の人が満足できる結末なんて無いだろうから仕方ないね。